ケーダブシャインさんのパンチライン

Kダブシャインさんの名曲とパンチライン(傑作フレーズ)11選。自主規制も自粛もしない毒とユーモアがすごい 

近頃、ラッパーのKダブシャイン(K DUB SHINE,ケーダブシャイン)さんがSNSを通じて存在感を増してきた。ミュージシャンの政治的発言といったトピックや、あるべきHIPHOPの姿について率直に述べる姿勢が一定の共感と議論を呼んでいる。ただ単に評論家的に振る舞うのではなく、1990年代のキャリア初期から一貫した硬派な姿勢に基づいたリアルな発言が、底堅い支持を集めているようだ。なんといってもKダブシャインさんと言えば、Zeebraさんらとのグループ「キングギドラ」でデビューし、日本語ラップのルールを編み出した重要人物である。何より、「社会派」とみなされる独特のラップのスタイルは、一度聞いたら忘れられないパンチライン(名フレーズ)を次々と生み出してきた。この記事ではそんな信念と毒、ユーモアに彩られた名フレーズを11選と言う形で紹介したい。

※著作権に配慮して曲の貼り付けは控えます。ご容赦願えれば。


1. ラストエンペラー

自分が自分であることを誇る
そういう奴が最後に残る

ラストエンペラー – Kダブシャインより引用

 1997年にKダブシャインさんがソロで発表したアルバム「現在時刻」の収録曲。最後の”皇帝”と自己”肯定”を引っ掛けたコンセプトだ。このパンチラインはHOOK(サビ)のリフレイン。ラップのフレーズを超えて、なんらかの名言集に掲載されてもおかしくない完成度の一節だ。

2. 一目瞭然

いつでも本物は本物見抜く
一回で気付く
 

一目瞭然 – Kダブシャインより引用

 同じく97年のアルバムから。「本物」「偽物」にこだわるKダブさんの歌詞らしい、シンプルで鋭い断言だ。曲のタイトル「一目瞭然」のテーマをズバッと言い表している。

3. 公開処刑

もう一度ジェームズブラウンから聴け

公開処刑 – キングギドラより引用

 ポップなラッパーへのDIS(批判)で物議を醸した2002年のキングギドラ名義の曲。ZeebraさんのkjさんへのDISが有名だが、Kダブさんもこの曲ではものすごく面白い歌詞を書いている。このフレーズは、浅はかなラッパーへの説教調で進むバースの最後を結ぶ一言。ファンク音楽の伝説的存在JBの名前を出すことで、温故知新を訴えている。いささか理不尽な言い方で、これはもはや反論不可能であり、完全にマウントを取り切っていくスタイルにしびれる。

4. SAVE THE CHILDREN

もし殴られてそうな子どもを見たら
すぐ、俺に言え 

SAVE THE CHILDREN – Kダブシャインより引用

 2001年の楽曲。「児童虐待を許さない、子どもたちを守れ」と言う想いが込められた作品で、社会派のKダブさんが本領を発揮したメッセージソングだ。バースの中身も名言だらけだが、何を差し置いても「すぐ、俺に言え」と言うこのHOOKには度肝を抜かれる。ここまでの当事者意識を持って曲を作ることのできるミュージシャンは希有だろう。

5. F.F.B.

初対面なのにテキーラ飲んだ
DISりながらも 胸とか揉んだ

F.F.B – キングギドラより引用

 2002年、活動再開期のキングギドラの曲。「お手軽に遊べるフットワークの軽い女性」を揶揄する曲だが、HIV患者への中傷が含まれていると当時炎上。同時期発表の「ドライブバイ」も同性愛差別的だとして、2枚のCDが回収騒ぎになったいわく付きの曲だ。
 しかしKダブさんは恋愛風刺でも名人芸を見せた。この身も蓋もないパンチラインには、彼のとぼけたユーモアセンスが如実に現れている。

6. ジャッジメントデイ

敗北後増えた売国奴

許さねえ俺  三島が愛読書

ジャッジメントデイ – Kダブシャインより引用

  2016年の曲。Kダブさんは昔からいわゆる右翼的な言葉選びでも知られ、それを改めて打ち出した一言だ。「敗北後」「売国奴」ときて「三島が愛読書」と落とす流れが的確で面白い。もちろん、自衛隊に決起を訴えつつ切腹した作家・三島由紀夫のことである。

7. 物騒な発想

ネトネト粘着 ウヨウヨ湧く

偉そうに言うほど強くもなく

物騒な発想 Kダブシャインfeat.宇多丸,DELIから引用

 2014年の曲。前項のように右翼的なイメージで知られるKダブさんだが、差別的で卑劣なネット右翼(いわゆるネトウヨ)とは一線を画しており、そんな人々を容赦無く批判したフレーズ。右左というより「誇りを持て」「思考停止に陥るな」「卑劣になるな」と言う部分にKダブさんの基本的な信念があるとよくわかる。当時話題になった一節だ。

8. 自主規制

奴ら大衆の顔色見過ぎて

もはや自ら進んで自主規制

自主規制 – Kダブシャインより引用

 2010年の曲のHOOK。「自粛」「萎縮」「忖度」が蔓延した現代から見ると、問題意識の確かさが光るパンチラインだ。

9. 真実の弾丸

ここ何処ジパング黄金の国

とらわれたくないもう損得に

真実の弾丸 – キングギドラ

 1995年キングギドラのデビューアルバム「空からの力」に収録。耳に残り、メッセージも明確なパンチライン。その後もKダブさんが繰り返す「日本の誇り」「外から見た日本」「金儲けや損得で考えるな」などの基本的なテーマが凝縮されている。

10. スタア誕生

スタア誕生 無感情な商売繁盛

スタア誕生 – キングギドラより引用

 同じく「空からの力」に収録。スターを目指した少女の挫折と顛末を歌った、ストーリーテリング的な手法の曲だ。一行でテーマを伝えているパンチライン。Kダブさんにはこうしてショービジネスの腐敗を伝える歌詞や、物語調の歌詞も多い。

11. マジ興味ねえ

マジ興味ねえ

マジ興味ねぇ – DJ OASIS feat.Kダブシャインより引用

 2001年の曲。いわゆる「サッカーMC」もの(ダメなラッパーを非難する定番のジャンル)。フェイク(偽物)な連中の特徴をあげつらった挙句、HOOKの最後に「マジ興味ねえ」と突き放す。しかし興味がないのにもかかわらず、そんな相手に向けて1曲を作っているという矛盾。そんなに興味ないのになんでわざわざ構っているんだろうという聞き手の胸中に疑問を生むレトリックが、なんともとぼけていて、高度にユーモラスだ。




最後に


ここに挙げたKダブシャインさんのパンチラインはほんの一部だ。まだまだKダブシャインさんの名曲やマジ興味深いフレーズはたくさん存在する。今回は”自主規制”してしまったものの、もっとどぎつい内容のフレーズもいっぱいある。長いキャリアのKダブさんだが、ぜひご自身の耳で音源を聞いて、自分に響く一節を見つけ出してください。



Kダブさんの経歴や、星野源さん事案との関連についてはこちら

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